1-8.遺産の不動産の賃貸収入は?

遺産の不動産の中に賃貸している建物(戸建て・集合住宅)があり、その入居者から入る家賃収入をどう扱うのでしょうか?亡くなった人が所有していれば、不動産(土地・建物)は遺産です。

しかし家賃収入は遺産ではありません

さて、遺産分割協議が決着するまでに発生する家賃収入をどうする?

1.家賃収入の最高裁判断

最高裁判所が2005年9月8日に下した判決は以下のようなものです。

「相続開始(遺産を残した人が亡くなった時)から遺産分割が確定するまでの間に不動産から生じた家賃収入は、各相続人がその相続分に応じて(法定相続の基準で)分割単独債権として取得したもので、後にされた遺産分割の影響を受けない」-つまり遺産分割協議が決まるまでに発生した家賃収入は、法定相続の基準で相続人間で配分するもので、(後で決まった)遺産分割協議の基準に遡って配分するものではない―ということです。

但し、相続人間の話合いで、「家賃収入は○○のもの」と決まれば、それはそれでOKです。

2.遺産分割協議で相続人が決まれば

遺産分割協議で決定するまでは、家賃収入は法定相続の基準で配分すれば良いのですが、一旦相続人が確定した以降は「家賃収入はその相続人のもの」となります。

従って、将来発生する家賃収入を複数の相続人で分配することに決めても、その不動産を相続した相続人から贈与されたことになり、受取った人に贈与税が発生する可能性があります。

仮に「将来発生する家賃収入を相続人間で分配する」ことを決めても家賃収入は遺産ではないので、遺産分割協議書に記載できず、その取決めを覚書(契約書)に記載することになります。

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