2-1.遺言書を書く前に

●なぜ遺言書があれば良いのか、まずその点から見てみましょう。

(1)遺言書の効力

①亡くなった人の誕生から死亡までの戸籍謄本

②相続する人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書

③遺産分割協議書

名義変更の手続き、例えば銀行に「亡くなった人の口座を廃止する」場合、通常なら上記①~③の書類が必要です。

しかし ◆遺言書があれば必要なものは②だけです

遺言書があるということは「当事者が死亡している・当事者の意思が遺言書に表現されている」必要なものは「相続する人を確認するもの」だけなのです。遺言書というものはそのような効力があるのです。

(2)遺留分

「いりゅうぶん」と読みます。これは何でしょうか?

例えば亡くなった夫の遺言書の内容が「全財産を愛人の○○に相続させる」ということだったら・・・・、残された奥さんと子供さんは困りますよね。アメリカではペットに全財産を残すことが認められていますが、日本では駄目です。日本では『遺産は残された家族にとっての保障という役割がある』と考えられているため最低限の保障が約束されています。

これが「遺留分」というものです。

法定相続で相続の権利があるのは「配偶者・子供・親・兄弟」です。

この内兄弟を除いた「配偶者・子供・親」に遺留分を請求する権利があります。

それは「おおよそ法定相続の半分」と覚えておいて下さい。

この遺留分は黙っていると、誰も何もしてくれません。口に出して請求するだけでも良いのですが、「言った」「言わない」とモメることが多いので「配達証明付郵便」で証拠を残すのが一般的です。

ただし「相続の開始を知った時から1年間請求しなければ、その権利は消滅する」ので注意!

(3)遺言書の種類

特殊なもの(船が沈むような状況で残す遺言など)を除き、下記の2種類の遺言があります。

自筆証書遺言くわしく

公正証書遺言くわしく

それぞれの特徴などは上記をクリックして下さい。

(4)遺言書の検認

自筆証書遺言は「検認手続き」をしないと、効力がありません(法務局に預けていない場合)。

検認手続きは

①遺言書を書いた人の誕生から死亡までの戸籍謄本

②相続する人全員の戸籍謄本・住民票

③申請書(検認申立書といいます)

④収入印紙950円分(800円+150円)

⑤郵便切手(相続人の人数により用意する枚数が変動します)

以上の準備をして家庭裁判所に出向いて申請します。

家庭裁判所は「遺言者の最後の住所地にある家庭裁判所」です。

家庭裁判所は提出された各種の書類をチェックし、申請に間違いがなければ申立人に検認の日を相談する連絡が入ります。この検認の日は裁判所が業務を行っている日(平日)に行われます。検認の日が決まると、相続人全員に実施日時の連絡が郵送されます。検認当日に遺言書を開封して、遺言作成者本人が作成したことを確認し最後に「検認証明書」を受取って完了です。

ここまでしてやっと『遺言書が有効』になるのです。

申請から完了まで早くて1か月、2か月くらいかかるのが普通です。

このように自筆証書遺言はすぐに実行できません!

◆うっかり開封しても、正直に申請すれば検認手続きは可能です。

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