2-4.遺言執行者は必要?

遺言書の中に「遺言執行者」を指定する必要は?

1.遺言執行者の選任

通常「遺言書の中で一番有利(?)な配分がされる相続人が指名されて遺言書を保管することが多いようです。配分の少ない相続人が指名されても、熱が入らないですよね。

◆市内の金融機関(銀行・信用金庫・JA・労働金庫など7か所)に「遺言書を持参した場合に遺言者の口座を 解約できるか?」を問合せてみました。

①検認済みの自筆証書遺言より公正証書遺言の方が良い

(これはあくまでもニュアンスで、はっきりとは言いませんでしたが・・・)

②遺言に遺言執行者の指定があり、その遺言執行者が手続きできる

③遺言執行者の指定がなければ、銀行に「念書」の提出が必要

いずれの金融機関も、口を揃えたように、以上の回答でした。

窓口で本人確認もしていなかった昔の時代に、ある相続人が訪れて亡くなった人の口座を解約したところ、また別の相続人が現れて「なぜ口座を解約したのか」と銀行を相手取り、裁判になりました。それ以降 金融機関は慎重になり「遺言書が無ければ専用の用紙に相続人全員の同意を記入、押印」させたり、「遺言書があれば、必ず遺言執行者の指名が必要」という決まりになりました。

口座解約後に相続人間で争っても、金融機関は遺言執行者に手続きしたので責任はない―という立場です。

金融機関の口座の話はさておき、配分のない(少ない)相続人がいれば不満を聞く前にさっさと「遺言者の最後の意思」を実行する人は必要です。

2.遺言執行者の権限

民法には「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められています。法律で定められていても、そのことを知らない人がほとんどなので、実際は権限の範囲を遺言書に明記する場合が多いです。

3.遺言執行者の義務

権限の一方でどんな義務があるのでしょう。

①まず遺言執行者に就任したことを相続人に通知し

②相続財産の調査を善良な管理者の注意を払って執行することが義務です。

③もちろん遺言の執行が完了した時も、相続人に通知します。

4.遺言執行者の選任申立

①遺言書に遺言執行者の指名が無いが、誰かが遺言を実行する必要がある場合

②遺言執行者が指名されていたが、死亡した場合

以上の場合に、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てれば家庭裁判所が選任してくれます。

これは家庭裁判所が「よし、この人を遺言執行者に!」と指名してくれるわけではなく、『遺言執行者候補者』を申立人が予め指定し、家庭裁判所が「この人でよかろう!」とお墨付きをもらうものです。くれぐれも勘違いをしないで下さい。

5.遺言執行者が死亡したら

遺言書が書かれてから、実際にその内容を執行するまでの時間経過があるので、上の②の場合(遺言執行者の死亡)ということも起こる可能性があります。そのため、第一番目の遺言執行者が執行不能になった場合に備えて、代理人や第二番目の遺言執行者を指名しておく方法もあり、遺言執行者の年齢等を考慮して遺言書に盛り込むことも考えておく必要もあります。

6.遺言執行者の報酬

相続人の一人が遺言執行者になれば、報酬のことを考えなくとも良いのですが、第三者が割り切って遺言内容を執行する方がスムーズに進むことが多いです。第三者に依頼するのですから、報酬の問題が出てきます。

信託銀行が公正証書遺言や遺言執行も取扱っていますが、遺言執行の報酬は「最低100万円」です!!

遺言を執行する困難度合いもあり、一概に言えませんが「遺産総額の○○%」という基準を設けている専門家が多いようです。

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