2-5.遺言公正証書をもっと詳しく

遺言書の中で公正証書の作成方法については公正証書遺言を作成する で書いています。

ここではもっと詳しく解説します。

1.公正証書遺言の費用・手数料

公証人の手数料一覧表の一部です。遺産の合計額(現預金+不動産等すべて)で、手数料が大きく変動します。

①配偶者一人に1億円の遺産を相続させると43,000円

②配偶者に6,000万円、子供に4,000万円を相続させると、配偶者:43,000円+子供29,000円、計72,000円

③総額が1億円以下の場合、11,000円の加算となるので、上記①②はそれぞれ11,000円が加算されます。

②のように遺言書に登場する人が増えると、手数料が増加します。

・公証役場に行けず公証人に出張してもらった場合は、交通費+出張手当(日当)がさらに加算されます。

すべてご自分で実行される場合は、公証人の手数料だけで済みますが、手間と時間はかかります。

専門家に依頼すると、遺言で残したいことを話すだけで、遺言書の案を作成し、公証人と打合せて、当日公証 役場に出向いて遺言書案を公証人が読上げ、間違いが無ければ了承の返答をするだけという状態です。もちろんその報酬は別途発生しますが、スムーズに進展します。

2.公正証書遺言の正本・謄本

①遺言公正証書の原本:遺言者と証人が署名、押印したもので公証役場に保管されます。

②遺言公正証書の正本:原本の「遺言者と証人の署名・押印」を省略し、公証人が「これは正本である」と書き 押印したもので、遺言執行者、または遺言者(遺言執行者なしの場合)が保管します。

謄本:正本のコピーで、遺言執行者がいる場合、遺言者が保管するものです。

3.公正証書遺言の証人

①20才以上の成人であること & ②配偶者、子、親、兄弟など相続人でないこと

この条件を満たす証人を自分で決めるのは難しいので、遺言作成を手伝う専門家や、公証人が手配する人にする方が無難です。なぜなら、遺言の内容をすべて知られてしまうからです。

4.公正証書遺言の閲覧

公正証書である遺言書は公証役場で原本が保管されます。その遺言の内容を閲覧できる方法は

①遺言者が亡くなっていること & ②相続人であること

以上の条件で、遺言者が亡くなった証明(除籍謄本)、相続人である証明(戸籍謄本等)、身元証明(免許証等)を持参すれば閲覧(見ること)も、コピーも入手可能です。

従って正本や謄本を紛失してもコピーを手に入れて遺言書を実行できます。

5.公正証書遺言の効力

①自筆証書遺言のような検認手続きは不要 ②正に「水戸黄門の葵の御紋」の威力

以上の効力があり、いつでもすぐに実行できます。また『隠れた効力』として、過去の戸籍謄本調査が不要。

これは何かというと、自筆証書遺言の検認手続きでは遺言者の「誕生から死亡までの戸籍謄本」が不可欠でした。そのため過去に認知した子の存在がわかり、相続人となって連絡されるので、こっそり遺言を実行することは不可能です。ところが、公正証書遺言は戸籍謄本を取得する必要がないので、過去の認知された子に連絡なしに遺言実行が可能です。このことが最大の効力と言える人も少なくないでしょう。

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